日本の貿易統計速報(通関ベース)によると、2011年の貿易収支は1980年以来、通年では31年ぶりの赤字に転落した。東日本大震災や世界経済の減速、歴史的な円高などを背景に輸出が減少した一方で、原子力発電を代替する火力発電向け液化天然ガスや原油などの輸入が急増した。財務省が25日発表した11年の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額は対前年比2.7%減の65兆5547億円と2年ぶりに減少した。輸入は同12%増の68兆474億円と2年連続で増加し、貿易収支は2兆4927億円の赤字となった。赤字額は、第2次石油危機後に過去最大を記録した1980年(2兆6129億円)に次ぐ規模。
11年の貿易赤字は、震災後のサプライチェーン(供給網)寸断による輸出急減とその後の回復歩調の停滞が要因。通年の為替レートが1ドル=79.97円と対前年比9.2%の円高となり、生産拠点の海外移転が進んだほか、欧州政府債務危機の影響で昨年10-12月期の対欧州、アジア向けの輸出が減少に転じた。第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは統計発表後のリポートで、輸出の先行きについて「タイの洪水による下振れからのリバウンドは今後期待されるものの、輸出は低調に推移する可能性が高い」とした上で、貿易収支の黒字転換は「早くても輸出の持ち直しが見込まれる年後半以降になる」とし、当面は赤字が続く可能性が高いとみている。
ドルやユーロに対して約1カ月ぶり安値を更新した。昨年の日本の貿易収支が31年ぶりの赤字となったことで、将来、経常収支が赤字転換し、国内での国債消化が困難になるなど日本経済の先行きに対する警戒が強まった。円は対ドルで一時、1ドル=77円98銭まで下落し、昨年12月29日に付けた安値(77円99銭)に接近。対ユーロでは一時、1ユーロ=101円56銭を付け、前日の海外市場で付けた同28日以来の安値を塗り替えた。午後3時32分現在はそれぞれ77円94銭、101円50銭前後。